日本ミトコンドリア学会 本文へジャンプ

  
J-mitについて 

理事長からのご挨拶  設立趣意書  定款  内規  学会役員   賛助会員


理事長からのご挨拶


 皆様にご挨拶申し上げます。2024年より、日本ミトコンドリア学会の理事長を拝命いたしました、自治医科大学の小坂 仁です。
 
 ミトコンドリアは生体内のエネルギー産生、脂質やアミノ酸代謝の場であり、細胞内の他のコンパートメントと協調し、カルシウム制御、生体免疫、生命維持の破綻である細胞死調節にかかわるなど、多岐にわたる機能・生体現象での働きを担い、ミトコンドリア研究の魅力と重要性は、今後も決して衰えることはないと考えられます。一方で、ミトコンドリア病は罹患数も多く、階段状に退行していくその経過から臨床現場において、最も厳しい病気の一つでもあります。ミトコンドリア病の病態理解と治療法開発は、私たちにとって喫緊の課題であり、患者家族の方々は、我々の研究の進展を切実に待たれています。ミトコンドリアは、心血管疾患や慢性肺疾患、パーキンソン病を始めとする神経変性疾患の発症などに関わることから、これらの予防、治療法開発にも繋がります。またミトコンドリア機能低下は老化と密接に結びついています。以上よりミトコンドリア研究は、多くの疾患の治療のみならず、健康長寿の実現に繋がることから、社会からの要請に応えて活動することが、私たちに求められています。
 
 この学会のもう一つの大切な使命は、若手研究者の育成と支援です。情熱を持って研究に取り組む若手研究者たちが、夢を追い続け、チャレンジできる環境を整えることは、現在の日本にとっても重要な課題の一つです。彼らが持続可能な研究活動を行うために必要な情報共有、研究費の獲得支援や、シンポジウムの開催など、学生・大学院生・ポスドク、あるいはミトコンドリア研究者として取り組んできた「種」が成長し、大きく成長するまで、自由に研究に取り組めるよう支援・応援し、産学連携に繋げるなどの環境を提供していきたいと考えます。
 
 本学会は2001年度より「ミトコンドリア研究会」として発足し、以来20年以上にわたって日本のミトコンドリアに関する学術活動を行ってまいりました。この学会は、臨床、基礎研究者が患者会とも連携して活動する、ユニークな組織です。この強みを生かし、全ての関係者がそれぞれの研究領域を超えて連携することにより、“統合的なミトコンドリア研究”を推進したいと考えております。日本ミトコンドリア学会へ益々のご理解・ご協力を賜りますようどうぞよろしくお願い申し上げます。



日本ミトコンドリア学会 理事長
小坂 仁